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金融緩和 黒田相場 効果 暮らしへの影響 






<金融緩和>暮らし変える黒田相場

新量的緩和の効果は

 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が打ち出した大胆な金融緩和策で、5日の東京市場は円安、株高、債券高(金利低下)が進んだ。企業の収益改善や消費の回復に期待がかかり、長年のデフレからの脱却が実現するか注目が集まる。ただ、輸入価格の上昇や資産バブルなどの懸念もあり、金融緩和の副作用にも注意が必要だ。

 ◇東証出来高、過去最高

 5日の日経平均株価は約4年7カ月ぶりに一時1万3000円台を回復。終値は前日比199円10銭高の1万2833円64銭だった。東証の株取引の出来高はこの日、過去最高の64億4900万株に達した。為替も一時1ドル=97円台と3年8カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけ、長期金利も一時、過去最低を更新した。

 「円安が1円進むと売上高が年500億円のプラスになる。いい傾向だ」。海外販売比率が約7割のソニーは、円安を歓迎する。トヨタ自動車は「円安が定着すれば販売の上積みは期待できる」(幹部)というものの、「95円ではまだ円安だと喜べない」と、さらなる円安を期待する。

 円安や金利低下で企業の収益が改善するとの見通しから、株価も上昇している。株高で資産価格が高まる「資産効果」もあって、百貨店では、富裕層を中心に高級時計や貴金属、ブランド品など高額品の売り上げが伸びている。百貨店各社は「景気回復の期待感が強く、今後も好調に推移するだろう」(高島屋)と期待する。金利低下が住宅ローン金利にも波及すれば、利息を含めた総返済額が減るため、個人の住宅取得意欲が高まる可能性もある。

 一方、円安は輸入に頼る資源価格を上昇させるため、電気・ガソリン代などの値上げにつながる。小売業にとっても円安は、仕入れ価格の値上がりにつながるため痛手だ。小売り各社は「今すぐ価格転嫁することはない」(イオン)というが、経費削減努力だけでいつまでも価格を据え置くのは難しい状況になっている。

 また、金利低下で預金金利は低空飛行が続きそうで、年金生活を送る世帯には金利収入が期待できず、厳しい環境と言えそうだ。

 金融緩和で雇用、消費の拡大への期待が高まるが、みずほ証券の石津健太マーケットエコノミストは「まずは輸出企業を中心に生産活動が活性化して業績が回復することがポイント。内需が回復しても賃金への反映は最後」と語る。デフレを脱却できたとしても、賃金が増えないままでは消費者の生活が苦しくなるだけで、金融緩和の副作用に苦しむことになる。【米川直己、横山三加子、西浦久雄、松倉佑輔】

 ◇日本の緩和、欧米並みに

 日銀が「やれることは何でもやった」(黒田総裁)と踏み出した金融緩和は、08年のリーマン・ショック後に欧米の中央銀行が進めた金融緩和に匹敵する内容となった。米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が2月の議会証言で「日銀は慎重過ぎた」と指摘するなど、日本の金融緩和は不十分との指摘もあったが、日銀内では「金融緩和のトップランナーになった」との声も上がる。

 日米欧の中央銀行が保有する資産規模をリーマン・ショック直前の08年8月と今年3月で比較すると、FRBは約3・5倍、欧州中央銀行(ECB)が約1・8倍。積極的に資産の購入などを進め、緩和を続けてきたためだ。日銀は約1・5倍にとどまっていた。

 日銀は4日導入した新しい量的緩和策で長期国債や上場投資信託(ETF)などを買い入れ、保有する資産規模を14年末に290兆円と2年間で約1.8倍に急拡大させる方針だ。今後、計画通りに290兆円まで資産を積み増せば、08年8月比で約2.6倍に拡大し、欧米と遜色ない水準になる。

 日銀に対しては「バブルなどの副作用を気にして金融緩和が不十分」(エコノミスト)と、慎重姿勢に対する批判がつきまとった。SMBC日興証券の岩下真理債券ストラテジストは「世界の中央銀行の中で緩和競争で抜け出した。サプライズもあり、合格点といえる内容だ」と評価する。

 ただ、長期国債を大量に買い入れるなどこれまでになかった金融緩和策で、通常の金融政策に戻るための「出口戦略」が困難になる懸念もある。第一生命経済研究所の田中理主席エコノミストは「雇用情勢が改善し、米国などが出口戦略を模索していく時に、日本の金融緩和は世界で突出した状態になる可能性もある」と語る。黒田総裁は「出口を議論するのは時期尚早」と、デフレ脱却を最優先する構えだが、資産バブルや急激なインフレなど、日本経済が金融緩和の副作用に苦しめられるおそれもある。





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